About Hiroshi Uotani,Oil Painting Artist

僕の描く絵にはよく動物が登場します。それらの多くは日常や旅で思いがけず出くわして記憶の中にひっそりと、しかし強く残像を残している者たちです。彼らは記憶の中のどこかに漂い、あるいは住み付いていて絵に出てくるには少々、時には長い時間のタイムラグが生じます。その時間差によってイメージは輝きを増しよりリアルに絵の中に出現してくるのですから不思議です。

例えば熱帯の森にはあらゆる形の植物の葉の重なりや線がひきしめき合っていながらも、不思議と秩序と調和が取れています。そんな、自然の造形は実に豊かで楽しい形に溢れていてその組み合わせは無限に可能です。キャンパスを一つの舞台と捉えて、書き割り的に平面化された背景の中に垣間見える動物を簡素化して配し、象徴的に対比させることを心掛けて描いています。

僕には絵を描く上で幼少の頃に見た忘れられない光景や体験がいくつかあります。その中の一つ、生まれ育った離島でのことです。嵐のあと青かった海がベージュに様変わりしその海面をとび魚の稚魚が昆虫の羽根にも似た黒いマーブル模様の、その小さな身体には不釣り合いな大きな胸びれを震わせて漂うのです。大きな柄杓で水ごとすくい上げつぶさに観察しては海面に戻すことを繰り返しました。その姿はパーフェクトな美でした。
やがて濁った海水は次第に青く澄んで行くのですが、そうなると先程まで見えていた稚魚の姿は幻だったかのように消え行き、今度は海の奥から大きな魚影が姿を見せ始めるのである種の恐ろしさを感じたものです。この嵐を境に現れる一連の海の変化はまるで魔法のようでした。

上手く言葉では表現できないのですが、私はそういう美しさと恐ろしさの中にある本質的なものに向かって絵を描いているのだと思います。絵でそういうものを再現しようとしているという意味ではなく、絵を描く上でどんなモチーフだろうと共通して、そういう‘もの‘に向かっているのです。これがなかなか難しく、道は遠く、楽しみつつ日々奮闘しています。

僕の創作活動はこのように実にシンプルなものなのですが、絵を観て下さった方がちょっと良い時間を過ごせたなぁと思っていただけたら、それが一番嬉しいことです。
                                           魚谷 洋

About my Art Technique

個展会場で多くの方に日本画ですか?
テンペラですか?フレスコですか?
などと質問されるのですが100%油絵です。
描き方が遠近法を使用し過ぎていなかったり
仕上がりがマットな質感であることか
らそのような印象を与えるのだと思います。
あとエアブラシは使用しておりません。

技法については、下記リンク先に簡単に記載
しております。

News

  • New!2025
  • 阪神百貨店梅田本店
    2025年 8月20日(水)〜26日(火)
    ハローカルチャー8階にて
    魚谷 洋 絵画展 -Le Jardin-

  • アンクル岩根のギャラリー
    迫田岳彦 魚谷 洋 二人展

    2024 11月16日(土)〜24日(日)
  • ながの東急百貨店
    9月19日(木)〜25日(水)
  • 神戸阪急 新館7階にて
    「魚谷 洋 展」-Imaginary Places- 開催

    6月12日(水)〜18日(火)

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