僕にとって絵を描くことは格闘である。
閃きと集中力と瞬発力が要る。
キャンヴァスを床に置いての作業が多く、這いつくばっての姿勢は全身の筋力とバランスを要する。
スパイダーマンのような気分で動いているつもりだが、実際はそんなにかっこよくないはず。
7つの色を操って独自の必殺技を完成させなくてはならない。
よって僕にとって絵を描くことはある種、静かな格闘技だと思っている。



今日は狙い通りの色とスクラッチができた。
さて、こっちは本当の格闘技。来週の火曜日7月25日は日本のボクシング史上最高傑作、井上尚弥の試合がある。
デビューした時からすごいやつが出てきたなと注目してきたが、ここまで無敵になるとは。
全てノックアウトで手にした世界バンタム級の4つのベルトをあっさり返上して、いきなり一階級上のチャンピオンに挑む大一番。
もはや世界の最高傑作と言われ出している井上の試合だけは見ないわけにはいかない。
体育学部生時代、半ば本気でボクシングをやっていたころインターハイで3位になった生徒が大阪浪商から一学年下で入ってきてその練習に間近で接し、動きの早さに圧倒された思い出がある。そんな人ですらプロになったという話は聞かなかった。
一握りのプロボクサーのてっぺんのその上のてっぺんのそのまた上のてっぺんの井上尚弥なのである。
しかもこの男、相手のパンチをまずもらわない。まともに貰ったのはドネアにパンチの軌道を読み違えて貰った一発だけ。だから試合の前と後の顔が変わらない。
海外ではモンスターのニックネームの方が浸透しているようで、イノウエが発音しにくいのか、イノウ(確かに異能)とかイノウェイとか
ひどいのになるとエニウェイとか言われている。異能なモンスターがこの先どこまで行くのか見ものです。