oil on Canvas

・油絵=キャンバスに油絵具を使用
・絵具の色数は現在8色
今や画材店に行けば百数十色の絵具が販売されていますが僕は色数を淘汰して行って、気が付けば8色になっていました。たった8色と思われそうですが色にはこだわりがあり、色によって4社のメーカーの絵具を使い分けています。そうすることで自分の好みの色を作り出すことが出来るのです。
キャンバスはかなり強く貼るようにしています。細かいことですが湿度の高い日本ですので耐久性の為にも釘はステレンス製を使用することが重要だと思っています。
Texture

- Décalcomanie
僕の絵の全てに共通している背景の不規則な点々の地模様ですが、これはエアブラシなどで上から吹き付けたものではなく、逆にスクラッチして表面の絵具を剥がしており、点々として見えているのは下地の色なのす。
元となった技法はデカルコマニーと言うヨーロッパの古典技法です。塗った絵具を上から紙などを押し付けて剝がす手法で、その時に偶然現れる模様を有効的に生かすことを目的としています。僕はその方法から自分に合った独自の方法を模索して最終的にはたこ糸を使うことに行き着きました。
下地を塗っては乾かすことを繰り返し、何層にも絵具を重ねた後にテレピンを含ませた糸を弾いてテレピンを飛ばし、紙で絵具を剝がすのです。糸を引き抜いた時に出来る曲線の模様を出すこともあります。この一連の作業は集中力を必要とし、絵具が乾く時間、剝がすタイミング、剥がれた時に現れる色、全てが一筋縄で行かず、いまだに途中でボツになる事もありますが自分なりにこの独自の技法を確立したと思っています。
Tools

- Brush
- Urethane
- Art Knife
筆は幅広の平筆から極小の細筆まで、ウレタンはパレットの上で混色をする時に使ったり、筆の代わりにウレタンで色を乗せることもあります。極小の筆はすぐに摩耗するので、小さな作品でも3〜4本は使い切ってしまいます。
油絵具は筆だけではエッジの切れが悪いので、強くてシャープな線を出したい部分には紙にデッサンした下絵をアートナイフで掘って型を作って、ウレタンで色を乗せることもあります。型を作る時は下絵はラフに、アートナイフで創作するように彫りながら線を描いている感覚です。このようなことをせずに、筆のみで描いた方が早いのですがあえてこの二度手間なことをするのはエッジの効いたシャープな線を出したいからです。それぞれの絵に合わせて型を作るので、その型を使うのは一度きりです。どのみち、絵具が染み込んだ型紙はすぐに使えなくなります。
作品に合わせて効果的だと思われる部分に筆と型を使い分けていますが、最後の仕上げは圧倒的に筆に軍配が上がります。


このようにキャンバスを貼る時から仕上げまで様々な手法を用いて絵を描き上げる訳ですが大切なのはそれらの技法ではなく表現したい空間の気配が一貫して息づいているかどうか。あるいは絵を観た人が画面の向こうに新たにイメージの広がりを感じる空間になっているかどうかではないかと思います。