梅田阪神百貨店での個展、無事に終えることが出来ました。暑い中お越しくださった皆様ありがとうございました。
静かな幕開けの前半、ドラマティックな日々の後半とても印象に残る個展になりました。
因みに関西では神戸阪急と梅田阪神、隔年交互に個展を開催させて頂く予定になっています。
2026年6月には神戸阪急での開催が決定しています。

さて、この絵は3日目から展示した作品です。ご覧いただけていない方がいらっしゃるので投稿します。
ご覧の三者(チューリップ、リス、小鳥)の構成です。

「来訪者」  33.3x20cm oil on canvas

そもそもチューリップを描くきっかけは、スイスからの帰路、アムステルダム空港でのことでした。発熱で体調が優れず、ふらふらと売店を眺めていたとき、土産物としてよく並んでいる木彫りのチューリップが、なぜかお守りのように見え、思わず手に取って買って帰ったのです。

リスは日本でも何度も目にしていますが、強烈な印象を残したのはアルプスを登る登山列車の中でした。森林限界に差しかかる頃、一匹のリスが列車と並走するように現れ、木から木へと飛び移りながら時折こちらを振り返るのです。その姿に車内は騒然となり、ワオ!ブラボー!…とさまざまな国の言葉が一斉に飛び交いました。
まさに千両役者!以来、僕の絵に不動の地位を得ています。

小鳥もよく登場します。スイスの牧場でのことです。ある日、一羽の鳥が大きな木の周囲を弧を描くように飛び去る姿に惹かれ、思わず後を追おうとしました。その拍子に牧場に張り巡らされた電圧線を握ってしまい、手が痺れて、まるで一本背負いを食らったかのように背中から地面に叩きつけられました。当然、鳥の姿は見失いましたが、それ以来、私の絵には去り行く鳥がよく現れるようになりました。

とはいえ、これらの思い出を乗せて絵を描いているわけではありません。描く時は、色彩と構成を強く意識しています。出来上がったこの絵を見て、三者が象徴的に出現したことで回想しました。

最終日にこの作品を求めて下さった方と時間の都合上、十分なお話が出来なかったので補足の意味も込めて書きました。